AI音声の雰囲気は良いのに、商品名を読み違える。日付や金額の読み方だけが不自然になる。そんなとき、長い原稿を何度も生成し直す前に、問題の語を含む短い一文で修正方法を比べると、手戻りを減らせます。
この記事ではElevenLabsで日本語のナレーションを作る人向けに、原稿の書き換え、発音辞書、確認用のメモを使い分ける手順をまとめます。声質を変える話ではなく、読み間違いを直すことに範囲を絞ります。
まず「文字の読み」と「話し方」を分ける
名前を別の読み方で発音するなら、表記や発音指定を確認します。一方、読み自体は合っているのに、間が長い、強調が違う、感情が合わないなら、文章の区切りや話し方の調整が中心です。
同時に全部を変えると、何が効いたか分からなくなります。最初は同じモデル・同じ声を使い、問題の単語だけを変えて比較しましょう。モデルを切り替えたときは、以前の設定が同じように効くか改めて確認します。
1.字幕用の表記と、読み上げ用の原稿を分ける
視聴者に見せたい正しい表記と、音声に読ませやすい表記は一致しないことがあります。元原稿を壊さず、読み上げ専用のコピーを作ると管理しやすくなります。
| 表示する文字の例 | 読み上げ用の例 | 確認点 |
|---|---|---|
| 10/5 | じゅうがつ いつか | 日付の読みを意図どおりにする |
| 1.5倍 | いってんごばい | 小数点と単位を続けて確認 |
| 架空の商品名「青音」 | あおね | 正式な読みを決めてから指定 |
表は修正の考え方を示す例で、この表記なら必ず自然に読めると保証するものではありません。かなを増やしすぎると、区切り方が不自然になることもあります。対象の一文を聴き、前後の言葉とのつながりまで確認してください。
字幕まで全部ひらがなに直す必要はありません。「画面は正式名称、音声用原稿は読みやすい表記」と分け、納品前に内容が一致しているか照合します。
2.何度も使う固有名詞は、発音辞書を検討する
毎回同じブランド名を修正するなら、発音辞書でルールをまとめる方法があります。2026年10月1日公開の公式ガイドでは、Eleven v4のTTSで発音辞書を使う手順が案内されています。
辞書には、別の表記へ置き換えて読ませるAliasと、音素で指定するPhonemeという考え方があります。日本語の名前をまずかな表記で試したいならAliasから検討し、音声学の記号による細かな指定が必要な場合に音素のルールを調べると整理しやすくなります。
- TTS画面の発音辞書の項目を開く。見つからない場合は検索欄やActions内の辞書メニューを確認する。
- 用途が分かる名前の辞書を作り、対象の語と読み方のルールを登録する。
- 使うTTS画面で、その辞書が対象になっていることを確認する。
- 対象語を含む短い文章を生成し、意図した読みになっているか聴く。
- 略称、英字の大小、表記ゆれがある場合は、必要なルールを整理する。
発音辞書は大文字・小文字を区別します。例えば説明用の名前「AO」と「Ao」を両方使うなら、それぞれの表記にルールが必要です。登録した語と原稿の表記が違えば、期待どおりに適用されないことがあります。「青音」「青音サービス」のように、単語単体と長い名称の両方を使う場合は、実際の原稿で確認しましょう。辞書の機能や対応はモデルごとに確認してください。
日本語の音素指定は、モデルの対応を確認する
公式APIドキュメントでは、辞書の音素タグに対応するモデルをEleven v4、Eleven Flash v2、Eleven v3としています。ただし、英語以外の言語でIPA・CMUによる発音指定を使う場合はEleven v4が必要です。日本語で音素ルールを登録する前に、生成画面で選んだモデルを確認してください。音素タグが対応しないモデルでは指定が読み飛ばされるため、読ませたいかな表記に置き換えるAliasを検討します。
3.SSMLのタグを、そのまま追加しない
別の音声サービスの解説にあるSSMLを、そのままEleven v4の原稿へ入れるのは避けましょう。公式ガイドでは、v4でSSMLの音素タグを使う方法は対応しないと説明されています。発音辞書や対応する指定方法を確認する必要があります。
角括弧の音声タグなど、話し方に関する指定と、単語の読みを決める指定も混同しないようにします。新モデルの基本と音声タグを先に確認したい場合は、Eleven v4の日本語音声と音声タグの使い方を参照してください。
修正するときの短い比較メモ
「モデル/声/元の一文/変更した表記または辞書ルール/結果」を残します。例えば、同じ一文で「原文」「かな表記」「辞書適用」の3パターンを比べれば、どの方法を採用したか後から分かります。
再生成するたびに完全に同じ音になるとは限らないため、読みが直った一回だけで終わらせず、実際のナレーションの前後につなげて確認します。固有名詞は合っていても、その直前の助詞や数字に不自然な区切りが出ることがあります。
公開前に、イヤホンで確認する5項目
- 人名・商品名・会社名が正式な読み方になっている。
- 金額、日付、小数、単位の意味が変わっていない。
- 修正した一文の音量や話す速さが、前後から浮いていない。
- 字幕の正式表記と、実際に読まれている内容が一致している。
- 書き出した音声ファイルにも修正結果が入っている。
商用動画に使う前には、利用するプランと声の利用条件も確認します。サービス選びで迷っているなら、ElevenLabsとVOICEVOXの料金・商用利用の比較へ。まずは、最も気になる固有名詞を含む一文だけで試してみてください。
確認日:2026年10月7日。参考:ElevenLabs・発音辞書ガイド、発音辞書の公式ドキュメント。音声の作例は未掲載であり、本記事は公式仕様と確認手順の解説です。


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